3つ数えろ

1946年のアメリカ映画。

レイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」の映画化。

地方検事と衝突して検事局の調査員を辞職、私立探偵を開業したフィリップ・マーロウがスターンウッド将軍の邸宅を訪れる。屋敷には大富豪の娘として我儘に育った姉のヴィヴィアンと妹のカルメンが住んでいるが、この美しい姉妹は同時に老人の頭痛の種でもあった。将軍は古書店主のガイガーがカルメンに対しバクチの借金の催促の名目で脅迫してきたと探偵に打ち明けて解決を依頼する。将軍の用心棒でお気に入りのリーガンはマーロウとも旧知の仲だが、最近になって賭博師のマースの妻と一緒に姿を消しており雲行きがおかしい。契約を交わし帰ろうとするマーロウを姉のヴィヴィアンが引きとめる。館では用心棒だけでなく運転手も消えていたと知るマーロウ。姉は妹と違い相当なしたたか者らしい。

図書館で古い本の情報を仕込んだ探偵は古書店街に足を運ぶ。正体を隠してガイガーのアジトを訪問するが本人は不在。応対に出たアグネスは客のマーロウを邪険にして追い払う。暗くなってから帰ってきたガイガーを尾行するとラバーン・テラスの一軒家にたどり着く。雨の中、別の車がやって来るが、運転していたのはカルメンだった。外から窺っていたマーロウは、銃声と悲鳴を聞くと家の中に走りこむ。裏庭から立ち去る2台の車。家の中にはチャイナドレスで素足を放り出し酩酊状態のカルメンと射殺死体となっているガイガー。胸像に仕込んだ隠しカメラからはフィルムが抜き取られていた。無人の一軒家、淫靡な隠しカメラ、脅迫者の死体、酩酊した大富豪の娘、他には誰もいない。

マーロウは意識の戻らない娘を彼女の車でスターンウッド邸まで連れ帰ると「何も無かったことにしろ」とヴィヴィアンに釘をさす。自分の車を取りに雨の中を歩いて戻ってみると現場からはガイガーの死体が消えていた。その夜、事務所にいたマーロウを調査員時代からの知り合いであるバーニー刑事が訪れ、スターンウッド家のクルマと運転手が波止場で発見されたと知らせてくれた。運転手のテーラーの死体を見に行ったマーロウ達は、テーラーの死は自殺とも他殺とも判断がつかないと話し合う。

複雑な人間の関係の網目をボガートが冷静な頭脳とタフな精神・肉体でもって辿っていく。途中明らかに本筋とは関わりのない女性が二人、さも主要人物であるかのように登場する。しかし出番は一度きりで、思わせぶりな言動は沈黙に終わる。

チャンドラーの長編だけあって、筋を追うのが非常に大変だ。なかなか難解なサスペンスになっている。